Gemini Code Assistを使って、GitHubリポジトリのPull Requestをレビューさせてみた
2025年2月末、Googleの生成AIサービスGemini Code Assistが個人向けのパブリックプレビューを始動。GCAをGitHubに追加し、上手に活用するための手順や機能について解説。GCAはコードレビューやpull requestの要約を手助けし、自動化されたコメントやレビューを提供。ただし、現時点では他のツールを補完する形となっており、特定の利用ケースに向いている。無料で利用可能な点が魅力であり、将来の価格変更に備えつつ、適切な活用法を模索する価値がある。
目次
2025年2月の終わりに、Googleの提供する生成AIサービス Gemini Code Assistが個人向けのパブリックプレビューを開始しました。そのニュースを拡散されているポストをXで見た時、「無料でGitHubに使えるだと・・・?」となったので、早速試してみることにしました。
結論から
2025年3月の時点では、「メンテナンスしているOSSに対して送られてきたpull requestの内容理解・トリアージとして使う」のが良さそうです。コードやpull requestメッセージのとりまとめを自動的に行ってくれるため、レポーターとGeminiの2視点から送られてきたpull requestがどんなものかを把握することができます。
反面、レビュー結果に基づいてコードを変更することや、自動承認のようなワークフロー的な部分はまだ対応していない様子です。そのため、社内・チーム内で作られたpull requestに対するレビューなどでは、まだまだ他のツールの方が向いていることが多いかもしれません。
Gemini Code Assist ( GCA )を GitHubに追加する
ここからは便宜上Gemini Code AssistをGCAと略して紹介します。GCAはGitHubアプリとして追加できます。

インストールを開始すると、GitHubでのログインを求められました。

要求される権限はこちらです。この後GitHub側でどのOrganization / Repositoryへのアクセスを許可するかを設定できます。小さく始めたい場合は、ある程度対象のリポジトリを絞っておくと良さそうですし、他のアプリと同様後から設定ページで対象を変更することもできます。

最後にGemini側でもどのorganization / personal account と接続するかを設定しましょう。ここで選択できるのは1つですが、後から追加することもできました。

「 Done! 」という画面が出たら、設定完了です。

GCAにpull requestを要約させる
さっそくGCAを動かしてみましょう。ちょうどCursorに作業させていたものがありましたので、それをpull requestにします。

すると数秒後に@gemini-code-assit
がコードレビューをコメントしてくれます。投稿する言語を変更する設定画面はなかったため、現状英語でのみ投稿してくれる様子です。この辺りはブラウザの翻訳ツールを使って読むことになりそうです。

既存のpull requestも、コマンドでレビューしてくれる
新しいpull requestにしか反応しないのかと思ったのですが、ドキュメントを読むとコマンドがある様子でした。/gemini review
とコメントを入れると、対象のpull requestをレビューしてくれます。

また、@gemini-code-assist
にメンションすることで、追加の質問を出すこともできます。しかし「これってマージしてもアプリ壊れない?」のような判断を求めるタイプの質問については、「自分で確認してからマージしろ(意訳)」と返してくる様子です。

この辺りは生成AIに対するベンダーのスタンスもあるとは思います。Cursorなどを使ってテストを追加するなどして、別の方法でチェックする仕組みを作る方が良さそうに感じました。
現状としては第三者からのPRの取次役?
DevinやOpenHands / Clineなどを使ってガンガン進めていきたい人にとっては、ハッキリしないやつだな・・・と感じる瞬間もあるかもです。ただ、無料で多数のリポジトリに対して設定できる部分は非常に魅力的です。
今の所想像できたユースケースとしては、「第三者から送られてきたpull requestを開設する役」かなと思ってます。第三者からのリクエストでは、コンテキストや解決したい課題が本人からのコメントではすぐにわからないこともあります。そして質問をしてもすぐに返事がなく、未解決のpull requestがじわじわと積み上がっていくこともあります。そんな時に、GCAが自動的に別の目線で「このpull requestは何をしようとして、何を変更しているか」を解説してくれるのは、メンテナーにとってはトリアージしやすくなるのではないでしょうか。
個人的には、「pull requestが作られたら自動的に実行される」こともポイントだと思っています。「pull requestを送信したら、/gemini review
だけコメントされた」という状況は、「おまえのpull requestよくわからん・・・」と暗黙的に言われたようにも感じます。しかし自動的に一律で行われるのであれば、そのあたりの角も立ちにくそうです。
あとは・・・無料で使えるのっていいですね。現時点ではプレビュー版らしいので、どこかで価格改定が起きるかもしれませんが、取次役として導入するくらいであれば、無料版が終わってもまぁまぁ困らないかなと思いました。